週刊新潮6月14日号に掲載された『「女友達」の家に押し掛け逮捕された21歳「おなべ看守」』の記述に関して質問状を送信し、返答をいただきました。

 レインボー・アクション「メディア対策チーム」では、週刊新潮6月14日号に掲載された『「女友達」の家に押し掛け逮捕された21歳「おなべ看守」』の記述に関して、下記の質問状を6月8日(金)に週刊新潮編集部宛に送信いたしました。

 その結果、6月9日(日)付の文書にて編集部より返答をいただきましたので、質問状と併せて公開させていただきます。「メディア・対策チーム」ではこの返答を受け、今後の対応を検討してまいります。




質問状
2012年6月8日

新潮社 週刊新潮編集部
酒井逸史編集長 殿


 突然の連絡失礼いたします。私どもは任意団体「レインボーアクション」の中でメディア対策を行っている者です。

 貴誌2012年6月14日号掲載のされました以下記事について質問申し上げます。

●記事タイトル
『「女友達」の家に押し掛け逮捕された21歳「おなべ看守」』

●記事本文(P34から部分抜粋)

「福島刑務支所は全国に8カ所ある女子刑務所のひとつ。そこで受刑者と接することができるのは女性刑務官だけなのです。女性ばかりの刑務所に、女性を好む刑務官がいるのはまずい」

「3年前、福島刑務所では男の看守が男性受刑者に性的行為を強要し、陵虐罪で逮捕された過去もある。『刑務所は犯罪者の矯正の場ですからね。もともとの趣味というなら、採用に問題があると言わざるを得ない。ただ採用後に芽生えてしまうこともあるんですよ。』」

「採用試験には性的嗜好のチェックも必要か。」

 以上の記事につき、三点の質問項目と、一点の要求事項をお伝えします。

●質問1
 貴職及び貴誌執筆担当者は、基本的人権の一種であり、日本国憲法第22条第1項で定められている自由権(経済的自由権)の一つである「職業選択の自由」は、同性愛者においては制限されるとのお考えでしょうか。もし、そうでないのでしたら、補足の説明をお願いいたします。

●質問2
 貴職及び貴誌執筆担当者は、同性愛が「趣味」であるとのお考えでしょうか。これは医学的にはすでに捨て去られた考え方です。もし、そうでないのでしたら、補足の説明をお願いいたします。

●質問3
 貴職及び貴誌校閲担当者は、「性的嗜好」という用語が、学術的に同性愛・異性愛などの区分に用いられてはいないことをご存知でしょうか。医学・心理学・社会学などで同性愛・異性愛などの区分に用いられる術語は、Sexual Orientation = 性的「指向」 であり、Sexual Preference = 性的「嗜好」 ではありません。同性愛者にとっても異性愛者にとっても、性愛の対象の性別というものは自由にはえり好みが難しいものであり、好みで選択できる、「嗜好」の対象とはされておりません。したがってこれは明確な誤用です。


●要求1
 術語の誤用につき、訂正の掲載と校閲担当者に対する教育を求めます。

 当会は、これらの表現は現に社会的マイノリティである同性愛者や性的マイノリティを、さらに社会的弱者に追いやりかねない深刻な人権侵害事象であると捉えております。

 日本社会の現状は、自らが同性愛者だと気付いた若者が「周囲に話すことができない」「家族に言えない」と独りで悩みを抱えて自殺念慮に苛まれ、精神的に追い込まれやすい状態にあります。自己肯定感を持ちにくい同性愛者達をさらに傷つけるこのような表現が、貴誌のような影響力の大きなメディアによって、広く世の中に表出する事態は、看過できません。

 ご多忙の折に恐縮でございますが、当会担当まで、電子メールあるいは封書にてのご回答をお願い申し上げます。ご確認の電話を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

 なお、この質問状は6月12日(火)18時以降に、当会のブログにて公開させていただきます。それまでにご回答を頂いていた場合は、回答も併せて公開させていただきます。回答をいただけていなかった場合は、その旨を明記し、再度質問を繰り返させていただきます。


「レインボー・アクション」
代表
 島田暁
メディア対策班担当
 2名連名




レインボー・アクション
代表 島田暁様

「週刊新潮」編集部
新井克彦

前略

 弊誌が平成24年6月14日号にて掲載しました記事「『女友達』の家に押し掛け逮捕された21歳『おなべ看守』」について、質問状を受け取りました。編集長に代わり、当該記事を担当しました新井克彦がお答えします。

 まず「質問1」について。「貴職及び貴誌担当執筆者は、基本的人権の一種であり、日本国憲法第22条第1項で定められている自由権(経済的自由権)の一つである『職業選択の自由』は、同性愛者においては制限されるものとのお考えでしょうか。もし、そうでないのでしたら、補足の説明をお願いいたします」とあります。

 最初に明らかにしておきますが、当該の記事は「『職業選択の自由』は、同性愛者においては制限される」との意見を表明したものではございません。また、ご指摘の前提に基づき執筆されたものでもありません。当該記事は、同性愛者に何らかの制限があるとは表明しておりませんし、問題点は加害者が刑務所職員であることと明記しております。ご存知の通り、美称社会復帰促進センターを除き刑務施設は男性用と女性用とで区別されており、多くは男性用の刑務所には男性刑務官が採用され、女子刑務所に女性刑務官が採用されております。その理由の一つには、異性の受刑者或いは異性の刑務官に対する過ちがないようにとの配慮も含まれます。しかしながら、当該記事にもあります通り、男性刑務官による男性受刑者への性的暴行なども発生しており、むしろ戸籍上の性別による配属先の決定に問題があるのではないか-というのが記事の趣旨です。

 次に「質問2」について、「貴職及び貴誌執筆担当者は、同性愛が趣味であるとのお考えでしょうか。これは医学的にはすでに捨て去られた考え方です。もし、そうでないのでしたら、補足の説明をお願いいたします」とあります。

 まず、「同性愛が趣味」との認識は持っておりませんし、当該記事に「加害者の『同性愛が趣味である』」との表現はしていないこともお断りしておきます。しかしながら、ご指摘の「趣味」という言葉には、「楽しみ」という意味以前に、「感興を誘う状態」もしくは共通感覚としての「美的な感覚の持ち方」という意味があることはご承知のことと思います。「趣味」という熟語につき、これひとつをもって「医学的には捨て去られた考え方」とのご指摘には賛同しかねます。

 次に「質問3」について、「貴職及び貴誌担当執筆者は、『性的嗜好』という用語が、学術的に同性愛・異性愛などの区分に用いられていないことをご存知でしょうか。医学・心理学・社会学などで同性愛・異性愛の区分に用いられる術後は、Sexual Orientation=性的『指向』であり、Sexual Preference=性的『嗜好』ではありません」とあります。

 同性愛者にとっての「医学・心理学・社会学などで同性愛・異性愛の区分に用いられる術語」はご指摘の通り、「指向」です。しかしながら前述の通り、当該記事の趣旨とするものは、戸籍上の性別による配属先の決定です。刑務所内における性的行為は、自由恋愛における愛すべき相手のみがその対象とは限りません。性的行動において、対象や目的について、その人固有の特徴のある方向性や様式を考慮する必要があるのではないかという意味において「嗜好」という、より広義の言葉を使っております。

 同性愛者の権利につき議論があり、それらが認められる方向に推移していることは承知しております。これらについて、妨害しようなどという考えなどはないことはご覧察頂けたかと思います。
 以上、術後の訂正の掲載と校閲担当者に対する教育にはお応えすることが出来ません。あしからずご了承ください。 草々




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朝日新聞1月4日付『天声人語』欄への手紙での問い合わせに対し、朝日新聞社広報部より返信がありました。

 レインボー・アクションメディア対策チームでは、2012年1月4日付朝日新聞1面『天声人語』欄の記述において朝日新聞同欄担当者宛に書面で下記の問い合わせを行いました。

 それに対して2月2日に朝日新聞社広報部より、返信がありましたので公開させていただきます。なお、当該記事については「朝日新聞デジタル」で有料コンテンツとして配信されているため当ブログでの掲載は見合わせます。同サイトあるいは新聞バックナンバーで御覧ください。




天声人語欄担当者様

 寒さが厳しく、世情も厳しい当節、皆様方におかれましてもお忙しくお過ごしのことと拝察申し上げます。

 さて、私どもレインボー・アクションは主として東京在住者によるセクシュアル・マイノリティ(性的少数者、LGBTなどと省略することもあります)の社会活動団体です。セクシュアル・マイノリティには同性愛者や両性愛者、トランスジェンダー(その中には性同一性障害として傷病化されている人々も含みます)、 性分化疾患など、既存のジェンダー秩序(男女を二分し異性愛を前提とする規範)に沿うことができない多様な人々がいて、その数は人口の5%から15%ほどではないかと推測されています。

 1月4日付天声人語を拝見し、ご説の内容には大きな異論はないとしても、文中の一部表現に関しまして、セクシュアル・マイノリティ当事者をいたずらに傷つける表現になっているのではないかと危惧しております。

 セクシュアル・マイノリティにとっては、男女が引き合うことは「自然の摂理」ではありません。そう言い切ると自身の存在そのものを否定しなくてはならない場合があります。また、同性愛者にとってはこのような言われ方で望まない異性婚を陰に陽に強いられてきた長い過去がありますし、トランスジェンダーで性別適合手術を受けた異性愛当事者は、婚姻ができても新たに子を設けることができません。

 今回「男女が引き合うことは自然の摂理」という表現をお使いになったことに、私たちは大変残念な気持ちを抱いております。セクシュアル・マイノリティの人々の人権をも尊重した表現をしていただきたく、私たちはここに抗議を申し述べるとともに、御社ではこのような事態の再発を防ぐのに役立つような研修などの策を講じていらっしゃるかどうかをお尋ねしたいと存じます。

 とは申しましても、近年は先進各国においては同性婚や同性パートナーシップを保障する立法化が進展し(貴紙1月19日「ひと」欄 同性愛を公表する大阪・神戸アメリカ総領事パトリック・J・リネハン氏記事を参照下さい)、養子縁組や最新医療によって新たに子を授かり育てるカップルが増加しています。日本でも同性婚や同性パートナー法が成立すれば、セクシュアル・マイノリティの一部も少子化を押しとどめる勢力のひとつとなるのです。

 どうぞ今後はそうした状況に近づけるための当事者や支援者のさまざまな取り組みをご支援いただければと存じます。


1.「男女が引き合うことは自然の摂理」という表現は必要なものであったか。適切なものであったか。御社のお考えをお聞かせください。
2.上記の表現が不適切であるとお考えの場合は再発防止策としてどのようなことをお考えかお聞かせください。


 上記、お問い合わせ申し上げます。なお、誠に勝手ながら、2月6日までにお返事を戴けますと幸いです。また、この質問および御社からの御回答は私どものサイトに掲出させていただきたく存じます。

 ご高配賜りますようよろしくお願い申し上げます。

レインボー・アクション 代表 
島田 暁
http://www.rainbowaction.net/
(本件担当 小澤かおる)




【朝日新聞社からの回答文】

2012年2月2日
レインボー・アクション代表 島田 暁 様
朝日新聞広報部

拝啓
 1月4日付の弊社コラム「天声人語」について、担当者宛のお手紙をいただきました。対外的な窓口の広報部よりお答えします。

 当コラムの主旨は、「交際している異性がいない」と回答した独身(18~34歳)が男性で61%、女性で50%と過去最多を記録し、交際相手がいない男女の半数近くが「特に異性との交際を望んでいない」といった国立社会保障・人口問題研究所の調査結果を引用しながら、その背景について「雇用、年金、環境と、若い層の漠たる不安」が鮮明になってきたことがあると指摘し、行政に対して、少子化を嘆く前に、人々が子どもを産み、育てたいと思えるような政策を打ち出すべきだと訴えたものです。

 お尋ねいただいた「男女が引き合う自然の摂理」という表現は、愛し合うことの大切さを伝えようとしたものです。決して、セクシュアル・マイノリティーの存在を否定しているわけではありません。
 ただし、「摂理」という言葉には、「法則」のようなニュアンスが含まれていることも確かです。いただいたご指摘は真摯に受け止め、今後の取材、執筆に生かしたいと考えております。
 ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

敬具




 レインボー・アクションメディア対策チームでは、回答をお寄せいただいたことに関しての感謝を伝えるとともに、回答内容に関しての更なる意見を伝えるべきか、議論を行なっているところです。



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